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特別対談 西谷 史 × 菊池 優

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対談
「語り部塾」塾頭 菊池 優 「語り部塾」開塾記念豪華対談
対談2 「三段階式赤入れとは!?」
作家/占い師 西谷 史
西谷 史 西谷 史(にしたに・あや)
1955年3月14日生まれ
作家/占い師

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菊池 優(きくち まさる)
1952年9月5日生まれ
作家代理人/フリーの編集者
詳しいプロフィール


西谷 ―   菊池さんに自分の作品を読んでもらって、ご意見をいただくとき、「私は、自分がいいと思うように赤を入れましたが、それがいいかどうかについての最終判断は、西谷さんがやってください」といわれます。 長く物書きをやっている人間として、それは編集者の鏡のような言葉だと思います。
これからやってくる塾生たちにも、なぜそのように言われるかを、くわしく説明していただけませんか。

菊池 ―   私が、作品を読ませてもらうときには、例によって自分のモノサシを持ち出します。
そのモノサシの尺度は、三段階に分けてあります。
まず、「レベル1」です。
これは、自分としてはちょっと気になったけど、書き手にこだわりがあるようなら、すぐに自分が引き下がろうという程度のものです。
次に「レベル2」です。
これは、できれば直してもらいたいんだけど、まずは書き手と話し合うことにしようという程度のものです。
そして、その話し合いの中で、自分の意見が正しいと自信をもてればそれを押し通しますし、相手の考え方の方が説得力があると感じたら、自分の意見を取り下げることにしています。
一番ヤッカイなのは、「レベル3」です。
この「レベル3」は、何が何でも、それこそ相手とケンかになっても直してもらいたいという赤入れです。
こういう部分が見つかった作品の場合には、意見が衝突して書き手とケンカをしたことが何度もあります。
もちろん、取っ組み合いのケンカではありませんが……。
こういうぶつかり合いを通して信頼関係を築いていくというのが、私のやりかたなのかも知れませんね。
ですから、西谷さんの作品を読ませていただいたときには、幸いにも「レベル3」がなく、しかも「レベル1」程度の赤入れが多かったので、「ご自分でご判断ください」という言葉が出たような気がします。

西谷 ―   その三段階方式の赤入れは、編集者を始めて、すぐに採った方法なのですか?

菊池 ―   いえいえ、とんでもないです。
最初のうちは、ものすごく押し付けがましい赤入れをしていました。
自分が赤を入れた部分は、すべて直して欲しいというような感じです。
しかも、重箱の隅を突っついてアラ探しをするような、嫌な編集者だったと思います。
ですから、その頃は、いまで言う「レベル2」程度の赤入れについて書き手から反論されている最中に、「あれ、もしかすると、俺の方が間違っているんじゃないか?」と気がついても、何とか屁理屈でごまかそうとしていたこともありました。
その当時は、「編集担当者である自分が、書き手のいうことを納得してしまったら、自分の存在価値がなくなってしまう」というような、わけのわからない強迫観念があったのかもしれませんね。
でも、そういうやり方をしていると、書き手からの信頼を失いますし、でき上がった作品に対して自分自身も納得がいかないので、出版社への持ち込みもできなかったんですよ。
最初のうちは、そんな失敗の連続でした。
そして、あるとき、開き直ったんです、というか、遅ればせながら気がついたんです。
「俺は、いまの自分以上でも、いまの自分以下でもない。わからないことはわからないでいいじゃないか」と。
そしたら、すごく楽になりました。
そして面白いことに、いまでは、作品を読んでどう直すべきなのかがすぐに出てこないときには、「申し訳ないけど、少し時間をいただけますか? ちょっと考えてみたいので」と素直に言うんですが、それがかえって作家に好印象を与えているようです。
不思議なもんですね。
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